■ワークショップによる光環境実験
■実施された街路照明整備
■整備前の大野村
設計:角舘政英+北沢猛+東京大学+日本大学
実験実施:ぼんぼり光環境計画+日本大学
メディア:NHK放映、新聞数社
JCDデザイン賞優秀賞2002
ディスプレイデザイン賞2002
-大野村にしかない人の暖かみを感じるあかり-
1光環境整備の考え方
人が生活する場には光があり、光をともす行為にはその土地固有の文化が見え隠れします。光という側面から大野らしさを探り、大野村ならではの夜の風景を浮かび上がらせます。ここでの大野村らしさとは、現状の風景をより強調するということと、歴史的または住民が大事にしている物を可視化することと考えています。夜間安心して歩くことができる基盤を整え、生活、行為に根ざした親しみのあるあかりが大野の夜を彩り、生活に潤いを与えるような光環境を創り出します。
2光環境実験-夢市期間中(H13.8.3~8.5)
計画に先立ち、既存の街路灯のように道のみを明るくする照明手法ではなく、家々の門灯、玄関灯の光で街の明るさ感を高めるという考え方に基いた光環境を仮設的に創り、その効果について検証しました。合わせて、神社や巨木など、村のシンボルをライトアップしました。
実験の結果、現状では、街路灯の強い光により、道路上は明るいのですが、周りに薄暗い部分が出来てしまっています。
一方、実験中については、建物や路地の奥に光を置いているため、路面自体の明るさは現状より減少していますが、街としての明るさ感が増し極端に暗い箇所がなくなっています。また、光源を白熱系に統一したことで街路に一体感が生まれました。
また、実験後住民の方41名にアンケート調査を行いました。
3光環境の段階的整備の方針
現状では、水銀灯の街路灯が道路に沿って15本設置されています。このような照明手法は合理的に路面の明るさを取る事ができる反面、街路空間を画一的なものとしてしまう恐れがあります。
今回の計画では、第一段階として村の中のシンボル的な場所に重厚感のあるポール灯を5本設置します。そして街路に沿って既存の電信柱を利用したレトロな照明器具をきめ細かく配置し、さらに暗闇をなくすように門灯タイプの低位置照明を使用します。
また第2段階として、各家が玄関灯を点灯することによって街路に暗闇をなくし、尚且つ各家の連続性を浮かびあがらせることによって、より空間認知を促進し安心感を増幅させます。