イメージコンセプト


Decoding the Human Body

現在世界中の公的機関のプライドをかけて進められているのが「ヒトゲノム計画」である。
「ゲノム(genome)」とは一つの生命体を形成し維持していくうえで必要なDNAの情報の総体をいう。
今、人の遺伝子に書き込まれた情報(32億個のDNA塩基)の解明の時が間近となっている。遺伝子は四つの塩基(A,C,G,T)の配列で書かれた人の姿形、人生の設計図ともいえるのである。この事実は遺伝子治療を待つ人々にとっては朗報ではあるが、その人の人生(遺伝的病気など)を予測できることになる。生まれる前に人の「質」を判別できる時代、すなわち「遺伝子差別」が始まる可能性があり、単純な四つの塩基(A,C,G,T)の配列によって人すら記号化される。
都市の中枢を司る無機質なデッキの計画において、そこに「人そのもの」を表現できないかと考えた。
ベンチの光は呼吸するようにゆっくりと点滅を繰り返し、これは生命体の人を表現した。ウッドデッキ上のバーコード的に配列されたラインの光は5~7分間隔で点滅し、これは活性化されて情報を伝達する人の遺伝子を表現した。
人間の概念が大きく揺らぐ時代を前に、デッキは人の構造、歴史、そして運命を解読する「人そのもの」の存在がイメージされるはずである。




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