主催:東京電力株式会社
企画:ぼんぼり光環境計画
運営:株式会社エーワークス 山崎あかね
「街の灯り」
-人々の生活が街に灯る 新しい街路照明を目指して-
■展覧会主旨
東京電力株式会社では、一番身近に電気を感じていただける『灯り』にテーマをおき、人の暮らしぶりが街の顔を作っていくようなプロジェクトを応援していきたいと考えています。今回は、街と電気のインターフェースとして生まれ変わる電力館を舞台に、新しい街路照明のあり方を実験結果を交えながら提案いたします。
■企画内容
今までのように街路を道路として考えるのではなく、街路空間、すなわち道路と道路に面した民間の敷地部まで含めた空間をひとつとして解答を出していきます。 街路照明の光環境のあり方を実際の街で実験し、調査・研究を行うことは、その街において必要と思われる機能、性能に合わせた光環境の手法を見つけ出し、住民とともに作り出す景観がきっかけとなって、独自のまちづくりが始まることにつながっていきます。
日本大学理工学部建築学科環境研究室(関口研究室)と角舘政英光環境計画が共同研究として行ってきた、1.横浜元町仲通りでの実験、2.川越一番街での実験、3.岩手県大野村での実験と実施結果を展示するとともに、実験結果を踏まえた集合住宅の光環境を新たに提案します。
人が生活する場には光があり、光をともす行為にはその土地固有の文化が見え隠れします。光という側面からそれぞれの街らしさを探り、その街ならではの夜の風景を浮かび上がらせます。
■展示内容
「人の行為に合わせた光」
(1)街路
街にとって本当に必要な光とは何か。平らな道を歩くだけなら道路が明るくなくても不満や不安感じることなく歩けてしまうかもしれない。
-さいたま新都心デッキ-
照明の基準では、デッキ上で10ルクスの明るさを確保しなければならない。しかし、「つまずかないで歩く」という行為だけに着目すればそこまでの明るさがなくても歩けてしまう。ここでは、足下の明るさをほぼゼロにして、サイン的な光だけを配置する試みを行った。
-元町-
道路幅が狭く、両側には住居と商店が密集している地域。「元町らしさ」とはという問いに対し今ある街の風景を大事に、より可視化することを目指した。路面上の明るさより大切なことは何か?道路から引っ込んだ凹の部分が明るいことが不安感を抱かずに歩くことができると判明。簡易的に作られた行灯を長さ500メートルの商店街の凹の部分に設置し、その効果を調査した。その後、実験を重ねた結果、道路だけにとどまらず街並主体の照明手法を確立、岩手県大野村で実施した。
(2)集合住宅
夜道を歩くとき、人が多く賑わっている時間と人影が減って寂し気な雰囲気になる時間とでは、気持ちの持ちようも変化する。時間と共に変化する環境にあわせて、集合住宅公開空地などの光環境演出を考案。時間とともに変化する環境に合わせて、照明を変化させることによって安心で安全な歩行空間をつくることができる。
(3)住戸
すまいのあかりを考えるということは、生活を考えることである。生活するということは様々な動き、行為の連続である。そういった自分の生活を考えていくとおのずと本当に必要な光が見えてくる。それを見つけることが自分だけの光環境を創り出すことだと考えている。
-川越一番街通り-
街の防犯性を考えた場合、最大の効果は人の目と言われている。窓明かりは人々の生活を夜間、唯一表に表現しているものとし、人がいるような窓明かりを作り出そうというプロジェクト。窓には各住民と話し合いながら、どのような明かりを作り出すかを決めて設置。結果は、夜間における人の生活する雰囲気が街に染み出て、防犯性が上がった。
■展示内容
・実際に行われた実験と調査データをグラフィカルにパネル展示
・光環境を体験するために光のシュミレーションボックスを展示
・プラズマディスプレイに光環境の映像ソフトを流す
・光のモニュメントを展示
■場所
電力館 1F イベントスペース/2F TEPCOギャラリー
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-12-10