浜名湖と遠州灘、小高い丘に囲まれ、
宿場町として栄えた歴史の面影が見え隠れする
古くからの民家、人情味溢れた人々の生活が、まだ息づいている町
静岡県新居町
そこで江戸時代から続くという夏のお祭りに、足を運んでみる
町中の若い男衆が片腕で抱えるのは
10Kg以上もある火薬の詰まった大きな手筒花火
長老より次々と点火されてゆく その数は一夜で一千本以上
皆で張り裂けんばかりのかけ声を高々に鳴らし
夜空へと吹き上げる火の粉を浴びながら、堂々と大地を跳ね歩く
時々、花火から吹き出す火風・爆音にもものともせず
気持ちよさそうに、幼なじみたちと
無数の火粒からなる「橙色のシャワー」を浴びる浜男たちの姿は眩しく
頼もしい
この度迫力を目の前で、誇らしく見守る町の浴衣姿の長老、女性、子どもたち
「100年前のこの日も、変わらないこの光景が、この町にはあったのだなぁ」
と思いを馳せる
「人」と「人」をつなぐモノ
「今」と「昔」と「これから」をつなぐモノ
きらめく火粒の一粒一粒が、密かにそんな町のツールとなって舞い散ってゆく
記:にのみやゆかこ