新建築2016年5月号
第10回キッズデザイン賞
2015年に開園したグローバルキッズ飯田橋園に隣接するビルの1・2階に、新たな認定こども園を計画しました。既存園との連携を活かしながら、子どもたちの体験の幅を広げる保育環境を目指しました。
2階の保育室は、腰高の家具によって緩やかに仕切ったワンルームタイプとしています。一方で、既存の飯田橋園よりも規模が大きいことから、保育室と廊下の間に「受入室」を設けました。
受入室は、家庭から園生活へ気持ちを切り替え、子ども自身が荷物を整理して一日を始めるための空間です。保護者は受入室までで送迎を完結できるため、保育室へ出入りする必要がなく、保育活動を中断することなく子どもたちは遊びや学びに集中できます。また、個人の持ち物を保育室に持ち込まないことで、子どもが自ら身支度を整え、気持ちを切り替えて一日を始められる環境としました。
1階には、「つくる」をコンセプトとした3つの特徴的な空間を配置しました。
一つ目は、「身体をつくる」ための屋内競技場です。約50mのトラックと約300人が利用できる観覧席を備え、日常の運動遊びから運動会まで幅広く対応します。可動式の舞台を設置することで、お遊戯会や発表会など、多様な行事にも利用できる空間としました。
二つ目は、「作品をつくる」工房です。工具や材料を整理して収納できる壁面収納と自由にレイアウトできる作業台を設け、木工や工作など、子どもたちの創造性を育むものづくりの拠点としています。
三つ目は、「料理をつくる」キッチンスタジオです。本格的な厨房機器を備え、日常の食育活動だけでなく、離乳食づくり講座や親子クッキングなど、地域子育て支援の場としても活用できるよう計画しました。
都市部では十分な園庭を確保することが難しく、猛暑や豪雨などによって屋外で遊べる時間も限られています。そのような環境の中でも、子どもたちが思い切り走り、体を動かせる場所として屋内競技場を計画しました。
人工芝のフィールドとトラック、階段状の観覧席を一体的に整備することで、「走る」「集まる」「観る」「発表する」といった多様な活動を受け止める空間となっています。日常の遊びだけでなく、運動会や発表会、地域イベントまで対応できる、園の中心となる場所です。
屋内競技場や工房、キッチンスタジオは、認定こども園と隣接する飯田橋園の子どもたちだけでなく、地域の子育て支援にも活用できる施設として計画しました。離乳食づくり講座や親子クッキング、ものづくり体験などを園が企画・実施するほか、屋内競技場は地域団体や一般利用者にも貸し出し、子どもから大人まで多様な世代が集い、交流できる場として活用されています。
隣接するグローバルキッズ飯田橋園の「室内園庭」と、本園の「つくる部屋」を両園の子どもたちが相互に利用することで、遊びと体験の幅はさらに広がります。
走る、つくる、料理する、発表する、仲間と集う――。こうした多彩な体験を日常の中で積み重ねることが、運動能力や創造力、社会性、感性、そして主体的に生きる力を育みます。やがて大人になったとき、都会の真ん中で夢中になって遊び、仲間とさまざまな体験を重ねた記憶が、この園ならではの原風景として心に残ることを願っています。
Cited from:石嶋設計室(https://ecg-man.com/)